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第二話「青い虫」

※久々のビーファイター小説です。今回は、戦闘シーンとジャマールが存在しません。
また、前回の話から急に時間が飛びます。

第二話「青い虫」

 六日後。
 世界はジャマールによって、その多くを破壊された。
 自由の女神像、ピラミッド、エッフェル搭といった、各所のシンボルともいえる建物や像はことごとく灰となった。
 ビーファイターの量産は間に合わない。
 現在、日本のビーファイターを含めて七体。
 ジャマールが降り立った場所であり、ジャマールの被害が集中している関東地方には三体のビーファイター──ブルービート、ジースタッグ、レッドルが点在している。
 だが、ビーファイターを待つ敵は、ジャマールだけではなかった。
 「なぜ、もっと早く来てくれなかった」「お前たちがもっと早く来ていれば大切な人は死なずに済んだ」──大切なものを失った人間たちは、ビーファイターたちを糾弾した。
 ただでさえ、人間離れした力を持つビーファイターだ。容易に信用し、受け入れてくれるわけはなかった。
ビーファイターも、いつ裏切るものかわかったものではない。人々は、そう唱えた。
 簡単には受け入れられない──それを覚悟していたのに、ブルービート=甲斐拓也は仮面の裏で涙を流していた。時折、般若のような表情も仮面が隠していた。
(なぜ、俺がこんな目に遭わなければならないんだ……。俺を糾弾した人々は、この痛みがわからないのか……?)
 拓也はアースアカデミアの基地の窓から、空を見上げた。黒く、澱んでいた。この向こうに青空があるとは到底思えなかった。
 それでも、青空が愛しい。
 手に入れたい。もう一度、この目で見たい。
 世界中の人間たちの手の中に納まりきらないほどの、大きな青空。
 世界中の人間たちで、手に入れたい。
 そう願った。そう願える心に、ビーファイターの力は宿ったのだろう。
 青空……子供の頃、家族の思いでの中で、唯一記憶にある光景だ。確か、日曜日にピクニックに行った時だ。
 拓也はまだ四歳だった。子供ゆえに、異常にはしゃぎ、青空を手に取ろうと、ジャンプを繰り返していた。
 だが、そのとき、後ろをふりかえっても両親はいなかった。あったのは、二つの死体だった。両親を殺した犯人は、家族を失った少年だった。楽しそうな家族が妬ましかったのだろう。
 それ以後、拓也は親戚に引取られた。茨城県の小さな村で、自動車整備を営んでいた。
 新しい親も、とてもいい人だった。義母さんは、病気で子供が産めない体だったらしく、子供ができた気分で拓也を育てた。
そこで暮らすうち、自動車や機械に詳しくなった。毎年、夏になると虫を取りに、近くの山へ出かけた。
 捕まえた虫は、毎回必ず大事に育てた。昆虫の観察は拓也の夏休みの宿題の定番となっていた。
 ちゃんと勉強もした。運動もした。家の手伝いもした。学級委員と生徒会長は譲らなかった。人との付き合いもしっかりと築いた。親友もいた。中学の時には彼女もいた。
 両親を殺した犯人の気持ちなど、全く理解できなかった。
 犯人に対する怒りも感じなかった。青空を見ると、心まで晴れた。
 犯人からは何度も謝罪の手紙が来た。更生したことをちゃんと感じさせてくれる内容だった。ちゃんと許せた。
 毎日が楽しかった。すべて、青空を見れば心が晴れた。いつも、拓也は青空を見ると手を伸ばした。昆虫を捕まえるように、そっと。時には、子供のようにジャンプして。
 子供の頃からの癖だった。
 いまは、全部崩れていた。
「拓也!」
 ジースタッグ=片霧大作が拓也の肩を叩いた。大作や、レッドル=羽山麗とはほとんど会った事がない。
 こうして会えることは、ジャマールの侵略が少し収まった証拠だろう。
「明日は日曜日だな。だけど、俺たちはみんなが休んでる時ほど、休むことはできない……だよな?」
「ああ。でも、明日ピクニックに行く人はいないだろうな」
「映画館、水族館、遊園地……どこもガラ空きだろうよ。店員すらいないかもしれねえし、いるとすれば、避難のためか、あるいはジャマールか……」
「映画か……俺の趣味の一つだったな。今はそんなもの、見る時間もない」
「俺もさ、ガキの頃は映画が好きでよ、怪獣映画とか……そういや、東映まんが祭りなんてのもあったな。ジャッカー電撃隊とゴレンジャーが一緒に悪いヤツらと戦ってて……」
「俺も見たな、それ」
 拓也が、軽く微笑んだ。趣味の一致した相手と話すのは、久々に楽しかった。
 そのとき二人は、多くの人々が通るアースアカデミアに、自分たちに近づいてくる足音が一つあることに気がついた。
「男の子たちはやっぱりヒーローとかの話が好きなのね」
「ん……? なんだ、羽山さんか。三人集まるなんて、最初の戦い以外では初めてだな」
「羽山さん……なんて呼ばれるのは久しぶりね。麗、でいいわ。……小学校の頃から、男子も私だけ麗って呼んでたの」
「それは、単に女と思われてないだけなんじゃないのか?」
 大作が初対面であるにも関わらず、麗をからかった。
「失礼ね。レディに対してそれはないんじゃない? ……ただ、羽山がクラスに二人いただけよ。小学一年生から中学三年生までずっと」
「冗談だよ冗談。……さて、ジャマールの侵略もどうやら、少しは収まったみたいだな」
「日本だけでも一週間に十六体もの怪人が倒されたんだ。少しの間は手を引くだろうね」
「ジャマーの数も少なくなったわね」
 ……二人とも、自分たちが非難されていることには触れなかった。
 拓也が落ち込んでいることに、気付いたのだろうか。だから、誰も話さないのだろうか。
 そのとき、警報が鳴った。
「ジャマール出現。合計三隊。すべて東京都内に出没」
 ビーコマンダーに、ジャマールの出没地が映った。
「……アイツら、もしかしてわざと俺たちをバラバラに行動させてんじゃねえのか!?」
「確かに。その可能性はある。でも、今はバラバラに戦うしかない」
「じゃあ、先に行くわよ」
 麗、大作と拓也の前から姿を消していった。
 戦いたくない。けど、やるしかない。
 青い空を捕まえて、大事に育てるために。
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No title

戦闘シーンがなかったけど良作品でした。GJ!
各所とシンボルとも言える建造物が……
ビファイターが7人……
他の4人はヤンマ、アゲハ、ミン、ゲンジですか?
拓也、かわいそうな過去があるんですね。
あと、ゴレンジャーとジャッカーのネタがよかったです。

No title

>戦闘シーンがなかったけど良作品でした。GJ!
>各所とシンボルとも言える建造物が……
>ビファイターが7人……
>他の4人はヤンマ、アゲハ、ミン、ゲンジですか?
>拓也、かわいそうな過去があるんですね。
>あと、ゴレンジャーとジャッカーのネタがよかったです。

ありがとうございます。
暗いビーファイター。汗
七人という数は世界のビーファイターを意識しましたが、特に四人は出す気ないです。
プロフィール

藤宮昴

Author:藤宮昴
HN:藤宮昴
16歳の学生

多趣味だけどこのブログではアニメ、特撮、漫画、ゲーム、洋画、邦画、小説等を取り扱います。

たまに日常が舞台のブログになる時もあります。
最近はサクラ大戦、特撮、プリキュアなどのネタがメインです。

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